「第11話。メルダの台詞」
「これがどうした」
「誰に向けた言葉だ?」
「山本だろう。山本に伝えてくれとそのあとでメルダは言っている」
「しかし、それを聞くまではまるで古代の腕が良いと言っているように聞こえる」
「古代は操縦の腕をメルダに披露していないよ」
「そうだ。では古代の腕とは何か」
「は?」
「メルダが見た古代とは、つまり交渉相手、尋問相手だ」
「交渉ね。女たらしじゃなくて?」
「そうさ。戦術長も男だってことですよ」
「は?」
「つまりさ。メルダは古代に惚れてしまったのではないだろうか」
「えー」
「自分を口説く腕前を実はメルダは誉めている。しかし、名門ディッツ家の者として、肌色の劣等人種に惚れたなどとは言えないプライドがある。だから、山本を誉めたことにして話をまとめる」
「証拠は?」
「父親のディッツ提督には一切の詳細を話していないようだ」
「ヤマトで起きたことを報告していないわけだね」
「そうだ。古代は立派な男だった、などとのろけ話はできないのだろう」
「ひ~」